靴の種類~紳士靴の格の違い~

スーツに合わせる革靴は一般的に「ドレスシューズ」と言われます。

対極にあるのはスニーカーなどのいわゆるスポーツ・カジュアルシューズです。

 

ドレスシューズのスタイルとして大きく分けると5つの種類に分けることができます。

「レースアップシューズ」(内羽根式・外羽根式)

「ストラップ」

「エラスティック」

「スリッポン」

「ブーツ」

どれも同じ革靴ですが、それぞれをシーンごとにきちんと理解して使い分けることができれば、

また知識と知っておければ一流への第一歩となるでしょう。

 

 

1・レースアップシューズ

履き口の前にある鳩目に靴ひもを通し、その結び解きによってフィット感の微調整を行う靴の事。

そしてくるぶしが出ている(ブーツでないということ)

つまり一般的に皆さんがビジネスシューズとして想像される靴の事です。

 

さらによく聞く人もいるかと思いますが、レースアップシューズをさらに

「内羽根式」と「外羽根式」に分類することができます。

 

・内羽根式・・・羽根の下端が網の下にもぐり、半開きしかできないもの

・外羽根式・・・鳩目のある革が甲の上に乗り、全開出来るもの

 

です。

一般的に内羽根式はフォーマル、外羽根式はカジュアルシーンで使用されます。

 

ちなみにですが、なぜかと言いますと歴史の流れの中でそのようになっていた背景があります。

 

内羽根式はイギリス王室がルーツです。

ヴィクトリア女王の夫・アルバート公がミドルブーツが起源だと言われています。

この構造で装飾のないシンプルなものをイギリスで「オクスフォード」と更に言われます。

構造上、羽根の開閉に制限がありフィット感にはやや劣るものの、見た目はよりスッキリと

清楚にまとまります。その為にフォーマールシーンよく使われます。

 

外羽根式の期限は軍隊の軍靴と言われています。

プロシアの陸軍元帥が作らせた戦闘用ブーツ。

アメリカでは「ブラッシャー」

イギリスなどでは「ダービー」

等とも言われます。

羽根が全開するので着脱が容易でフィット感にも優れます。

その為に動き回る人、スポーティーなシーンに合っています。

 

このように内羽根式はフォーマルで品の良いシーン

外羽根式はカジュアルで動きやすいシーン

と歴史の中からシーンに合ったデザインとなっているのです。

ビジネスシーンではこの靴がベターで、また修理もしやすいので長持ちもします。

 

 

2・ストラップシューズ

最近やや増えてきましたが、履き口の前や脇にベルト状のバックルとストラップがあり

それでフィット感の調節を行う靴です。

レースアップシューズに比べるとややカジュアル寄りになります。

(ダブルモンクストラップなどデザインによっては華やかな雰囲気をしっかり出せるものもあります)

 

イメージとしてはストラップシューズとスリッポンの間のようなイメージです。

カジュアルビジネスシーンなどにはラフな感じで臨めるので一足あるといいでしょう。

バックルの色や大きさ、デザインなどにも様々な種類があり、コーデの楽しみもあります。

 

フランス革命前後までは、ヨーロッパではバックル付きの靴が礼装用として履かれていたようですが

今ではカジュアルシーンに使われることがほとんど。

派手すぎないデザインであればビジネスシーンにも使えるかもしれないが

TPOには最低限気を付けたい。

 

 

3・エラスティック・シューズ

伸縮性のあるゴムを練りこんだ生地=エラスティック。

数としては少ないですが、おそらく見たことはあるはずです。

ゴム布を履き口の前か脇に縫い付け、着脱するので、

履いた時はゴムがしっかりフィットし、また着脱もしやすいというものです。

しかし長く使用しているともちろんこのゴムの箇所は伸びてしまいます。

定期的にこのゴムの修理をしなくてはいけないのです。

 

主にエラスティックシューズは

「センターエラスティックシューズ」と「サイドエラスティックシューズ」の二つにわかれます。

 

センターエラスティックシューズは甲の部分にこのゴムが配置され、その上にアッパーの革で覆っていますので、

基本的には外からは見えません。

 

サイドエラスティックシューズはくるぶしの脇周りに主についています

そしてこれが一般的には内側、外側の両方にあります。

こちらは構造上、どうしてもゴム生地が露出してしまいます。

どちらにせよ、日本人は靴を脱ぐという習慣があるので、非常に使いやすい物かもしません。

 



 

4・スリッポンシューズ

スリッポンと聞くとキャンバススニーカーのようなものを想像する人も多いかと思いますが、

ドレスシューズでは一般的にはそうではなく、

シューレースやバックル・ストラップなど、履き口を絞めたり、調節する機能のない靴の事です。

いわゆるローファーです。

 

靴の形状のみで足を固定するために、足を滑り込ませるという意味から、スリッポンと言われるようになったそうです。

ユーザーは非常に脱ぎ心地のいい感じですが、靴を作る人の立場からすると

この種類の靴はアッパーの形状だけで履き心地が決まってしまうので、設計は他の靴よりも

非常に違った難しさを求められます。

 

調整ができないので、合う、合わないは人によって本当に細かく出ます。

だからこそベストなスリッポンシューズに出会えたら幸せな事と思います。

 

印象としてはやはりカジュアルなシーンに合うでしょう。

上の他の種類の靴のなかで一番カジュアルになりやすいのでスーツなどと合わせるときは

カジュアルになりすぎないように気を付けて清楚な印象を大事にしましょう。

 

 

5・ブーツ

ブーツと聞くとイメージが非常にしやすいと思いますが、

くるぶしを隠す長靴のようなもの。

今まで紹介した4つの靴は丈の長さで短靴とも表現できます。

 

元々このブーツというのはとある競技で使用されていたことから始まるようです。

くるぶしまでしっかり固定することで、競技もしっかりとしたプレーができたようです。

 

ブーツと聞くとカジュアルそのもののようなイメージがあると思います。

しかし本来道路などがきちんと舗装されていない時代にはブーツの方が主流だったそうです。

20世紀初めまでは主要都市であっても路面に難のあるところも多く、広く使用されていました。

 

また今有名な靴のブランドは、どの国のブランドもブーツがまだ主流だったころに起業されているようで、

このブーツの背景の存在はしっかりと覚えておいた方が良いようです。

 

 

 

 

 

 

革靴の歴史

「革靴発祥」

その当時、革靴(特に紳士靴を指す)は英国にて誕生した。視覚的な美しさを求めるものから競技用、軍靴などが工場で製造された歴史がある。

ヨーロッパにルーツを持つ革靴だが、その技術はヨーロッパ諸国にとどまらず、今日、北アフリカや東南アジア諸国にまでオリジナルで生産される技術が伝播していった。

貴族や王室御用達のドレスシューズのそれらは、シューメーカーの職人によって完全フルオーダーの「ビスポーク」(英語の文法の“be spoken”が語源だという)の作られ方を、変わって大量生産期には工場生産(ファクトリーメイド)が盛り上がった。工場製の靴が顕著なのはいうまでもなくアメリカだ。サービスシューズ(軍など国に納める供給靴)を筆頭に、タウンユースできる良質なものが生産されていた。現在は奇しくも数少ない「アメリカ産」の紳士靴が存在するが、メーカーの存続懸念から、生産は米国から生産効率の良いアジアへと移っていった。

ちなみにオーダーシューズの中には「パターンオーダー」と呼ばれるものもあり、それらはある程度決まった木型から好みの革、色、素材のそれぞれを選んで出来上がるオーダーシューズである。


「革とは」

当然のことながら、革靴なので動物の革を使って作られたものを指す。そうでない素材のものは合成皮革や化繊などで作られたものもある。ここが混合しやすいので注意が必要かもしれない。

近年、化学繊維のグレードが向上し続けているせいか、合成皮革と天然皮革の見分けがつきにくいものも存在するのが現実だ。

食用の産物として得られる動物の「」は工場にて加工されて「」と書き方が変わる。陸に生息する動物、海に生息する動物など種類は多岐にわたる。

当時ヨーロッパでは天然の革から作れる靴に限りが出てしまった。需要に生産が追いつかない状況だ。食用として重要な動物から採れる良質なそれは希少価値が上がり、原価の高騰にも繋がった。また動物を早く太らせ、食料として調達するようになっていった。そしてその頃には革に張りが出るようになり、足馴染みの良い、しっかりとした革が使用された靴が市場に多く出回っていたほど、人類にとって華やかな時代だったのかもしれない。

謳歌した時代の賜物は現在高価で取引されることもしばしばあり、一方では科学技術の発達によって生み出された素材のグレードアップが図られる。


「アウトソール」

さて、革靴というものはある種、紳士、婦人の嗜みである。現在市場でも見られる「黒塗りのレザーソール」は、本来その「黒」の美しさを保つようにされていた。要はレッドカーペットや絨毯の上を歩いたり、馬車や車に乗って移動する人が履くものとされていた。また黒ではないが、女性もので良く見かける「クリスチャン・ルブタン」のピンヒールシューズはそれに値する。あの靴の真っ赤なレザーソールはそのカーペットの上を歩くものとして成り立っていた。

ちなみにオールデンの靴のアウトソールには「プランテンションソール」という、つま先部分のみレザーで、そこからかかとまでの部分はゴムでできているソールの種類がある。これは絨毯の上を歩くときにアウトソール全部がゴム製だと引っかかりがあり、スムーズに歩けないことを改善させた例である。

そのように黒や赤に塗られたソールは、現在このコンクリートの中で生きていくことが難しくなってきたようだ。その靴の美貌を復元できる力のある靴の修理屋や靴磨き職人の中には、このストーリーを理解している者も少なくないはずだろう。

またゴム製のアウトソールを強みにしているものも存在する。ビブラム、ハルボロー、キャッツポー、ビルトライトなど。地面を噛むように歩けるので、アスファルトジャングルの日本国内(都心など人口の集中するエリア)においてはこちらに軍杯が上がりそうだ。

このアウトソールの種類では、ドレスシューズを前提的に綴っている。ペコスブーツやモンキーブーツなど、より稼働的な種のそれは別のところでお話しする。


「製法」

靴の製法の話に進もう。機械が産業革命によって大きく発展し、靴やその他製品の生産効率が上がったことはいうまでもないだろう。

大きく「縫ってある靴」と「接着の靴」の2つに分かれる。それぞれ用途に合わせた製法であり、どちらが良いとか悪いとかそういうことではない。

「縫ってある靴」の中にはグッドイヤーウェルテッド製法マッケイ(ブレイク)製法と呼ばれるものがある。グッドイヤーウェルテッド製法は靴の上部(アッパー)と下部(アウトソール)の間にウェルトと呼ばれる革紐のようなパーツを挟み縫い上げる製法だ。ウェルトが緩衝材になることで、アウトソールの交換時に靴全体が傷まずに済むのがメリットだ。本来これはハンドソーンウェルテッド製法という作られ方をしていた。グッドイヤーのように機械を使ってウェルトをつけていくのが主流であるのに反し、手縫いを施す、大変手間暇かかる製法だ。機械のない時代に手縫いで一足一足作成していたことを考えると、どれほど過酷な仕事であっただろうか。

一方マッケイ(ブレイク)製法の靴は、アウトソールとアッパーが直接縫いつけてある。それに加えてマッケイ(ブレイク)製法の靴はコバ(ソールの側面)の張り出しがグッドイヤーのそれと比較すると控えめで、見た目の美しさも兼ね備えている。新品の頃から履き馴染みが良く、歩行も快適であることもありヘビーユーズしがちだ。一つ難点を挙げるならば、アッパーとアウトソールを直接縫い合わせているので、アッパーに糸目をつけてしまっている。どういうことかというと、

靴はアッパーが裂けてしまったり、ダメージが酷くなってしまうと、その靴は履けなくなってしまうことがある。地面に直接触れ、靴の中で一番負荷のかかる最も過酷なパーツはアウトソールである。それの交換によって靴は進化を遂げ、オーナーの足に沿っていくものだ。グッドイヤーやハンドソーンはアウトソール交換の際に合わせてウェルトの交換ができる。しかしマッケイ(ブレイク)製法のそれとは別物で、アッパーとアウトソールを直接縫い合わせていることから、修理の際にアッパーを傷つけてしまう懸念がされる。グッドイヤーウェルテッド製法の靴は丈夫で長持ちするが、その反面、マッケイ(ブレイク)製法のような柔軟性は後々になる。履き出しから快適で修理もしっかりできて、長く履ける靴となるとコストがかかる…その解決法は別の機会に。



また、日本とイタリアの2国に関していうと他の国で作られている靴ではなかなか見ることのできない意匠や技法が施されている。アウトソールの縁を内角度約45度に削りこむ「矢筈仕上げ」のある日本(靴を上や前からみたときにシュッとし、美しさが引き立つのだという)の靴、迫力のあるコバをこれでもか!とまで見せるラージコバ(ヒュージコバ)やウェストの削り出しがくびれていて美しいイタリアの靴。どちらの国も「靴作り」は外から入ってきたもので、それに独自のアレンジを加え現在の靴まで引き継がれている。(イタリアはイギリス人のバカンスでもあったことから、洋服の仕立てや靴作りを吸収していったと考えられる。)

ドイツには医学療法的措置としてオーソペディックシューズが誕生したり、アメリカの一部では靴のフロント(ヴァンプ)部に縫いを施す意匠をも持つ。

一方で接着の靴は、特にスニーカーの類に多くみられる製法だ。とにかく歩きやすく、クッション性も抜群なので、現代ではよく履かれているのを見かけることが多い。「高級紳士靴」と呼ばれている有名なシューメーカーから市場に売り出されているものでもスニーカータイプが存在する。「バルカナイズ製法」というゴム製のリブをぐるっと一周巻いてつけたものが有名だが、そのリブがついていないものもある。コンバースのスニーカーをその例としよう。

アッパーとソールを貼り付けただけのものは、寿命という限界があるように思える。それは「革靴」にも言えることで、生産コスト面では非常に優れているように見えるが、長期的にみたら「接着のみ」よりもしっかりと「縫ってある」靴の方が経済的に優しい。一回一回靴を履き捨てるのではなく、自身にあった靴選びをすることが望ましいようだ。

多くの靴の歴史にはルーツがあり、それそれが発達したことに触れたが、それは実は現在も継続している。エシカルファッションがもてはやされ、エコが課題視されている今日、革靴のそれらが本当の意味で「嗜み」になっているのかもしれない。


デキる男は足元から デキル男の身嗜み術~靴は見られている~

靴は意外とチェックされている

足元というのは良く見られている場所の一つです。

ビジネスシーンではどんな靴を履いているか?によって相手にとらえられる印象がかなり変わってきます。

私のお客様はビジネスで成功している人ほど、良い靴を履いていますが、
こだわりの靴であることと同じくらいにお手入れもしっかりされています。

革が傷んでいる
ほつれている
色が変に変色している

などはあまりありません。


靴の大切さ

以前お客様にお伺いしたことがあるのですが、毎週一度日本三大ホテルの中にいる靴磨きの職人さんに靴を磨いてもらっているお客様のお話です。

「きちんと手入れをしていると革靴は長持ちをする」

「長持ちをすれば少し高級な靴を買っても、結果的に安くなる。」

「相手の靴は仕事でも僕も良く見るから同じくらい見られてるんだろうね。初対面でも靴を見れば大体この人と仕事組んでいいのかわかるよ。」

「僕は自分で手入れすんの面倒くさいから磨いてもらう。ランニングコストかかるけれど、それ以上の仕事もらえるから結果的にはそっちがいいよ」

というお話をしたことがあります。

なるほどなと思いました。


安靴で凌いだ下積み時代

私の仕事場は高級店ということもあり革靴なのですが、見習いの頃はお金がほとんどなく某激安ディスカウントショップで激安の靴を履いてましたが、二週間くらいで足先がすれはじめて、一ヶ月もすると足先はボロボロ、かかとの当たるところはほつれ、職場には的さない靴となりました。

その中でもお金がないので半年くらいは直しながら履いてましたが、さすがに下地が剥がれたり、かかとが割けて、雨の中歩くと一瞬で水がしみてくるようになりました。

大阪研修で感じた靴ケアの大切さ

そのタイミングでちょうど大阪へ四ヶ月の研修となりました。

技術が上手くなったタイミングで大阪の店舗でも経験を積むように、数ヵ月大阪へ研修に行く制度がありました。

たまたま僕は早く上手くなり、同期では一番最初に研修となり、2つ上の先輩と一緒に大阪へ行くことになりました。

しかも最初の研修先がたまたま大阪で一番高い料金をいただく店舗。

ボロボロの靴を持って行くことにもやめ、一緒に行った先輩にも助言され、やはり靴は大阪で買い換えることにしました。

新しい靴に買い換えると不思議と大切にするもの。大切にはこうと思ってました。

たまたま高いサロンだけあり、そのサロンではお客様の靴を預かって簡易的な磨きアイテムで靴を無料で磨くというサービスがありました。

こっそりその道具を拝借して、四日に一度の割合で靴を磨いていました。

すると不思議と靴が長持ちしたのです。

買った靴のランクに差はないです。お金ないので…


結果的に東京へ戻ったら・・・

当初はまた荷物にもなるし東京へ戻る時にはどうせ靴はボロボロになるだろうから捨ててくればいいやと考えていましたが、

結局半年弱の大阪研修後も東京へ持ってきて、普通に使っていました。


東京に戻ってくると、さらにまた忙しくなり、道具もなかったこともあり、磨かなくなりました。

もちろんそうなるとどんどん靴がダメージ受けてきます。結果的に購入して一年位でまた買い換えました。


やっぱり手入れは大切

お客様からのお話をお伺いしてこの下積み時代のことを思い出してなるほどなと思いました。

靴のお手入れはじめてみませんか!?
慣れれば簡単です。
道具もそんなにお金もかからないです。

そのために少し奮発して、良い靴を購入されてはいかがでしょうか!?


靴を購入された方は是非こちらから磨き方のページへ

デキる男の自分で磨く 靴磨き